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『ボストン美術館展』テーマで横断する展示

2022年8月21日(日)に東京都美術館で開催されている、『ボストン美術館展 芸術×力』へ行ってきました。

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今回の展示会場である東京都美術館に行くのは初めてでした。
以前行った東京国立博物館と同じ、上野公園の敷地内にあります。
上野動物園のとなりにあるので、以前子供と動物園にいったことがあるおかげで迷わずにたどりつきました。

東京都美術館について簡単にご紹介

・所在地 東京都台東区上野公園
・1926年(大正15年)5月1日開館
・1975年(昭和50年)9月新館開館
・2012年(平成24年)リニューアルオープン
・日本最初の公立美術館として作られた
・北九州の石炭商、佐藤慶太郎が資産の半分の100万円(現在の40億円)を東京都に寄付したことで実現した
・2026年で開館100周年

一番驚いたのは個人の寄付をもとにして建てられたことでした。

ボストン美術館について簡単にご紹介

・所在地 アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン市
・1876年 開館
・メトロポリタン美術館と同じくゼロからスタートし民間の組織として運営される
・所蔵品 約50万点
・展示品を8部門に分けて管理・展示されている
 ヨーロッパ、アジア・オセアニア・アフリカ、アメリカ、現代、版画・素描・写真、染織・衣裳、楽器
・入場料 大人25USドル
以前観に行ったメトロポリタン美術館展のメトロポリタン美術館の所蔵品が約200万点ということで4分の1の所蔵品数ですが、50万点もすごい数だと思います。

展示全体の感想

「芸術×力(権力)」というテーマで56点の芸術品が展示されていました。
今まで自分は漠然と歴史的なものを観たいと思って展示を観てきました。
今回のように「色々な地域、時代を横断するテーマ」の展示を今まで観たことがありませんでした。
そのため「このような展示方法があるのか」とても新鮮な気持ちで観ることができました。
エジプト、ヨーロッパ、インド、中国、日本などの幅広い国の展示が観ることができました。
今まで観てきた展示は
・イスラーム王朝とムスリムの世界→イスラーム文化圏
・ポンペイ展→古代ローマ
・メトロポリタン美術館展→西洋絵画(ルネサンス〜)
 
というように同一の文化圏で固まっていました。
さまざまな国の歴史的なものを一度に観ることができてとても興味深かったです。

権力と芸術の関係について

芸術と権力の関係について以下の5つの切り口で展示が分けられていました。
1姿を見せる、力を示す
2聖なる世界
3宮廷のくらし
4貢ぐ、与える
5たしなむ、はぐくむ

権威をみせるため、一般の人にも権威をわかりやすく見せるため、外交など贈答のための、パトロンになり育てるという感じでしょうか?

いろいろと印象に残った展示があったのですが特に印象に残った展示は「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」と「吉備大臣入唐絵巻」です。
日本の絵巻なのですが、想像より大きくて驚きました。
絵も文字も保存の技術の高さから、かなりはっきりと見ることができました。
実際に観てみるととにかく長い。
つくるのにかなりの労力が必要だったと思います。
昔の日本人は、こんなにも労力をかけて長い巻物を作ったのはなぜだろう?という疑問が湧きました。
また絵巻というのは西洋圏にもあったのだろうか?という疑問も出てきました。

次に印象に残ったのが「オーストリアおよびドイツの宮殿と庭園選集」でした。
活版印刷とエッジングを駆使して印刷された当時の宮殿と庭園を絵付きで載せた本です。
今まで活版印刷は宗教改革などで使われたという印象が強く、どちらかというと非権力者のほうに使われたと考えていました。
しかしこの展示を観て、権力者のほうも印刷技術を活用ていたのが理解でき、自分の考えが間違っていたことに気がつきました。

最後に

今回一番の学びは、漠然と歴史的なものを観るだけでなく、テーマに沿って観るということができることでした。
テーマに沿っていろいろな国のものを選別して展示するというのも自分にとっては新鮮でした。

ただ今回の展示のテーマである「芸術×力」、いわゆる芸術と権力の関係が理解できていないところがあります。
恐らく自分が生きてきて、ほとんど権力というものを感じることが無いので、実感が湧き辛いのだと思いました。
展示されていたモノがどうのように権力と結びついているのか図録の説明を観て、確認していきたいと思います。