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『アホウドリの糞でできた国 ナウル共和国物語』を自分なりに読む

『アホウドリの糞でできた国 ナウル共和国物語』を読みました。
ツイッターで歴史関連の本として紹介されていたのを拝見して、歴史について書かれているとは思えないタイトルで、歴史がどのように書かれているか気になり読んでみることにしました。
全163ページで本編は118ページその後の後日談の座談会が45ページで、文章もぎっしり文章がありません。
30分くらいで読み終わることが出来ました。
ツイッターで歴史の本として紹介されていなかったら、「そんな島があるんだな」という淡白な感想で終わっていたと思います。
あっさり終わりすぎて、「なぜこれが歴史関連の本として取り上げられたか分からない」という思いでした。
何度も読み返して自分なりに歴史として捉えてみることにしました。

ナウル共和国について

島の位置 太平洋南西部(ミクロネシアの南西)
・人口 約1.3万人
・面積 22平方キロメートル(東京都品川区とほぼ同じ面積)
・通貨 オーストラリアドル
・1968年に共和国として独立

ナウル島は元々アホウドリの糞とサンゴ礁の死骸が溜まって長い年月をかけてできた島です。
そうやって出来た島に今のナウル人の先祖が船でやって来ました。
1888年にドイツ領となり燐鉱石が発見されたため採掘が始まりました。
第一次世界大戦の時にオーストラリア軍に占領されオーストラリア、ニュージーランド、英国の3国による統治となります。
第二次世界大戦では日本軍が占領して島民を強制移送しました。
その後再び、オーストラリア、ニュージーランド、英国の3国による統治となり、
1968年にナウル共和国として独立しました。

燐鉱石は化学肥料の燃料になるため、植民地時代から採掘が始まりました。
植民地時代は燐鉱石で得た収益をナウルの人々が受け取ることはありませんでした。
独立してはじめて燐鉱石を輸出したお金が国の収入になりました。
燐鉱石で得たお金を国民に配ることで、働かずに生活できる夢のような島となりました。
しかし燐鉱石が枯渇しはじめ、何とか他にお金を稼がないといけなくなってしまいました。


少ないページでも色々な疑問が出てくる

何度も読み返すうちに、一回読んだだけでは気づかなかったことが疑問として出てきました。
・アホウドリの糞と珊瑚の死骸で島ができるのに何年くらいかかるのか?
・糞から燐鉱石ができる仕組みはどういった原理なのか?
・第二次世界大戦中、日本軍がナウル島まで来たのはなぜなのか?
・燐鉱石は他の国でも採掘できるのか?
・産業が根づくための条件とは何か?
・植民地から独立して上手く産業が根付いた国はあるのか?

歴史以外にも様々な疑問が出てきました。
特に輸出する燐鉱石が無くなった後、ナウル共和国はうまく代わりになる産業を作れませんでした。
「お金があるだけでは産業はできない?」という疑問が生まれました。

外国と資本主義に翻弄された印象

ナウル共和国では燐鉱石が取れなくなった結果、豊かな暮らしができなくなってしまいました。
それまで働かず税金も払わない生活を送っていたナウルの人々は働き方を忘れてしまい、働くことができません。
「豊かな生活が送れるうちに次の手を打っておかなかったから悪い」と言う記事も拝見しました。
太平洋に浮かぶ小さな島に燐鉱石以外の資源がなく、自力でお金を稼げるようになるのは相当難しいと感じました。
そして自給自足で生活していた人々は植民地化し燐鉱石採掘の労働力として使われ、独立したあとは燐鉱石の輸出をして一気に豊かになりました。
自分達で産業を生み出す経験をしていません。
産業を産み出すための段階を全く踏まなかったため、燐鉱石が取れなくなっても自給自足に戻るわけにもいかず、産業もこれと言って無いという厳しい状況になってしまっています。
ナウル共和国以外にもこのような問題を抱えている国はあるのではないか?とも思いました。

最後に今回学んだこと

今回学んだことは、「普段さっと読んでしまう本でも視点を変えると気付きがある」ということでした。
あとは今まで読んできた歴史の本は「理解しやすいよ書かれている」と感じました。
今回は本にはほぼ事実しか書かれていないため、分からないところや疑問に思ったところは自分で調べることになりました。
自分なりに疑問を調べて本を読んでいくことはとても新鮮でした。
そして調べてみて、自分がどうやって調べたら良いかも分からないことに気が付きました。

まずは歴史を馴染ませるために学んでいるのですが、「疑問を自分で調べること」も慣れていきたいと思います。